6.うまく操縦できないのはモードのせい? モードは1なのかモード2なのか。それが問題だ!
谷底から這い上がろうとするライオンの子供のごとく、しかし、百獣の王の血筋にはほど遠く、人生の復路をひた走る通称『私』は、その後も、未来への希望も見えぬまま、子猫のように、ただただ地味に必死にドローン操縦の練習を続けておりました。
風呂上がりの地道な練習の日々
練習はたいてい、風呂上がりにバッテリー2個を使ってやっています。
『トイドローンの最大の欠点はバッテリーが持たないことだな。1個で5分くらいしかもたないもんなぁ。2個しか持ってないから10分くらいしか練習できないよ。そのくせ充電時間は30分くらいかかるってどんなバランス感覚だよ。』
『まあでも、今のところは激突するたびに中断して拾いに行くから、意外と1個で10分くらいやってるんだけどね。2個で20分だからまあ風呂上りにやるのはそのぐらいがいいところか。』
『それにしても、見事なまでに安定しないよな。プロポ(コントローラーのこと)の持ち方も変えたんだけどなぁ。』
などと、ブツブツ考えながら練習を繰り返してました。
すると、やはり、練習とは不思議なもので、ホントーに、少ーしずつ慣れて行くものなんですね。激突回数が徐々に減っていきました。
『ドローンも日々の努力が大切なんだな。改めて人間にとって大切な基本中の基本、西友的に言うと「きほんのき」を再認識しましたね。』
『しかし何だなー、始めてすぐに言うのもなんだけど、ちょっと気になるのは、かなり低いレベルでもう成長が鈍化してる感じがするってことだな。
きっと例の事をはっきり結論づけてないから迷いがあるのかもしれないなぁ』
モード1なのかモード2なのか。それが問題だ!
例のことと言うのは、プロポ(いつの間にかこういった単語をさり気なく使うようになっていますねー)のモード問題です。
モード1にするのかモード2にするのか深く考えないまま、現在はモード1のトイドローンで練習しています。
『もやもやしたままでは練習に身が入らない。これは早めに決着をつけなくては!』
ということで、さっそくWeb検索開始しました。
『当然、それに関する様々な意見が、様々な視点で議論されているはず、それをいくつか読んで考えまとめればいいや』と思ったのですが、そう簡単にはいきませんでした。
だいたいの意見は、モード1は日本の主流、教えてもらえる人が多い、モード2は海外の主流、初めてならこちらが簡単、などでした。
さらに、「モードを途中で変えるのは結構大変」とか書いてあるものを読んでしまうと、
『これは結構大切な選択じゃないか。始めてすぐの知識も技能もない段階の人に対してはものすごい難問だなぁ』と思ってしまうのです。
さらに、追い打ちをかけるのが、だいたいのサイトは、最後の結びの文章に、
「自分に合った方を選べばいい」とか
「練習すればどちらでも同じ」とかが書いてあるのです。
それはそうなのだろうけど、人生ゲームの「振り出しに戻る」みたいなニュアンスの言葉に悩みは一層深まるのでした。
http://www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/3054/mode2.html
【ドローン基礎知識】モード1、モード2、どちらを選ぶ? | ドローン情報サイト
調べた中で、大きく心が動いたのが、「ヘリコプターの実機の操縦に近いのはモード2」というものでした。
『ふむふむ、そうだよなー。どこの国で主流かどうかよりも操縦の合理性で選ぶべきなのだ。そのことをを解明して決めよう!』
そもそも飛行機とヘリの操縦とは
そこで、今度はモードではなく、飛行機の操縦、ヘリコプターの操縦で検索開始しました。
飛行機とヘリコプター、操縦方法結構違うことがわかりました。飛行機の操縦方法はモード1に近く、ヘリコプターはモード2に近いようです。
『なるほどなるほど、だんだんわかってきたぞ。
そうなると気になるのはオスプレイだな。オスプレイの操縦方法は飛行機とヘリコプターとどっちに合わせてるんだろう。
それじゃあオスプレイの操縦はどうやっているのか
オスプレイはヘリコプターのようにホバリングできるし、飛行機のように飛べる回転翼機ですよね。操縦ははたしてプロポ的に言うとモード1なのかモード2なのか、それとも同居しているのでしょうか。
『操縦結構難しいんじゃないかな。だからあんなに墜落事故おきるのかもしれないなぁ。
オレは今どちらかに決めようと迷っているのに、オスプレイパイロットは、
「垂直飛行ならモード2で水平飛行ならモード1だよ〜ん。」とか言われちゃってるのかもしれない。
だったら「斜めに上昇はどっちなんだよー。」ってなっちゃうもんね。うーん、可哀想すぎる。ちょっと調べてみるか。』
オスプレイ 「構造上の欠陥」とは・・・ 矛盾するシステム: 土佐のまつりごと
『うーん、なるほどね。飛行機のようで飛行機じゃない、ヘリのようでヘリじゃない、操縦も難しそうだなぁ。
オスプレイ見た目も重そうでちょっとかっこ悪いし、操縦も難しいのかぁ。
かわぐちかいじ著「ジパング」の海鳥はもっとスリムでカッコ良いし、軽快に飛んでたのになぁ。米国海兵隊員ちょっと気の毒だね。
おっと、またかなり脱線してしまった。それで、結局モードはどうするんだっけ。
いやいやまだ何も決めてなかった、検索しただけだったよぉ』
図に書いてさらに考えてみました
読んでいるだけでは頭に入らないので、紙に書くことにしました。まとまらない時は、たいていいつも紙に書きます。
無印良品のB4サイズの「らくがき帳」をもう10年くらい使ってます。これ罫線も何もなく、そしてなにより92円という安さなので気軽に使えていいんですよね。
誰か忘れましたが、現代音楽の作曲家がこれ使って作曲しているという番組見てから使い始めました。
『誰だったかなーあの作曲家。佐村河内だったりして。だったとしたらインチキくさいな。というかインチキだったな。でも試しに交響曲第1番HIROSHIMAってBookOFFで200円くらいだったから買って聴いてみたけど、意外と良い曲だったんだよね。』
(自分のFacebookに書いてありました。その作曲家は藤倉大でした。情熱大陸で作曲イメージを膨らませる時に使ってました。)
気になったことをらくがき帳にまとめていきました。
『なるほどね、飛行機は前進していることが大前提なんだな。とにかく前に進んでないと浮力が得られないからね、ヘリと違って。
それに、常に前を向いて前進ね。後ろ向いて前進とかしてる飛行機見たことないもんね。というかその時点で、すでに前進じゃなくて後進ってことだしね。
あー出たな、言葉のあやとでも言うんでしょうか。
昔、友人が「勝負は勝ち負けじゃない!」って言ってたことあったけど、そもそも勝負って勝ち負けって書いてるんだよなー。
こういう言葉の矛盾ってよくあるよなぁ。「統制された自由」とか「洗練された素朴」とか。
こういうのオクシモロンって言うんだったかな。不思議な深みが出てるよなー。』
『何の話だったかな。あぁそうそう、飛行機の操縦ね。
そうなると、一定の速度で前進してる時って、上下左右の操作しかなくなるなぁ。
あー、そーね。そう考えると上下左右が右側スティックに集中しているモード1は理にかなってますね。
さらに、飛行機は右旋回しようとすると浮力が低下して下降しちゃうみたいだなぁ。それを修正するために同時に上昇する操作も必要なんだなー。
そうなると、その操作が右側スティックだけでできるモード1があってるね。』
↓ モード1の右スティックの動き
『それに対してヘリコプター(≒ドローン)は止まっていること(ホバリング)が大前提なんだよなー。これ大きな差だなー。
空中に止まっているなら、前後左右の操作がメインだから、2次元の動きが右側スティックに集中しているモード2の方が良いわけか。
ふむふむ。わかってきたような気がするぞ。』
↓モード2 の右スティックの動き
ここまで考えると、飛行機はモード1、ドローンはモード2の方が理にかなっているような気がしてきました。
『ほか何か操作あったかな。そうか、回転するやつね。ラダーっていうのか。
モード1は前後操作と回転が左側で一緒になってるんだな。これはこれで良い組み合わせのような気がするがなぁ。
前に進みながら右に曲がりたかったら気分的には右回転したいと思うもんな。車とか自転車とかと同じでね。
そうなるとモード1も理にかなってるような気になるね。
↓ モード1の左スティックの動き
モード2だと上下と回転の組み合わせか。
上昇しながら右回転したいってことあるのかな。ありそうな気もするがどうなんだろう。
↓ モード2 の左スティックの動き
あーちょっと分からなくなってきたな。そもそも感覚的にわからないし、理屈としても分からなくなってきたぞ。』
理屈の限界に。結論は感性に頼ることに。そして決めました…
紙に書いても結局どちらにするかを決められなくなってしまった私は、結論として、
『両方操作してしっくりいく方にしよう。』
という、めぐりめぐって初めに戻るような、紙上の理屈ではなく自分の感性に決定をゆだねることにしました。
操作の条件を揃えるために、今持っているHoly Stone HS170のモード2を追加で購入して両方を比べることにしました。
同じトイドローン買うことは無駄だなぁと思いつつも、
『決めたら要らなくなったほうを、メルカリで売ってしまえばいいや。メルカリやったことないけど、試してみたかったからちょうど良いや』と思い購入を決めました。
購入の際に気をつけたのは、『また同じモード1を買ってしまわないようにする』ことと『到着日に気をつける』の2点でした。
1点目は当然ですよね。これやっちゃうとホント馬鹿みたいですから。でも慌てるとやっちゃいがちなことだなぁと思い慎重に注文しました。
2点目はこれも当然なのですが、何も考えずに注文しちゃうと、妻から「また同じのきたよ」などということになり、これまで悩み抜いた経緯を説明しても理解を得られそうもなく、「また無駄な買い物をしている」となり「ドローンは我家の敵である」ということになるのを恐れたからです。到着日も慎重に設定して注文しました。
モード1到着から20日後の2018年5月12日にモード2が無事到着しました。
『おー、来たか来たか。まってたよー。どれどれ早速飛ばしてみよう。
『ふむふむ、なるほどですねー。少しの練習期間でもモード1の感覚があるものだなぁ。
でも、ホバリングということだけ考えると、モード2の方がいい感じするなあ。』
しばらく、モード1、モード2と飛ばしてみて決めました。
私は「モード2」にします!(ズバッ)
決め手は、「なんかしっくりくる」「こっちの方が簡単そう」という非常に感覚的かつ曖昧な理由であります。
しかしこれからは、迷わずモード2の操縦練習に邁進することができます。
邁進といっても、今までたいした練習らしい練習をしていたわけではないので、今まさに、ウォーミングアップが終わり、練習開始のスタートラインについたということなのでした。
その日の夜に中野で飲み会があり、その場でいっぱしのドローンパイロットのように、ドローンの将来性や魅力、モードの違いについて力説している自分がいました。
39歳の時に辞めた最初の職場の上司や同僚達で、みな10年ぶりぐらいに会ったにもかかわらず、「今何やってるの」とかいう話もそこそこに、なぜそこまで力説してしまったのか。
最後には「もう、ドローンの話はいいぞ」という声も上がる中、酔っ払って自制が効かなくなっている私は、しつこくドローンの話を力説し続け、翌日非常に後悔するという典型的なダメオヤジとなっていました。